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チョコレートの魅力とは。

2016.11.09

チョコレートのロマンを辿る「ミルクチョコレート」の始まり

歴史は偶然と必然のタイミングが交差して生まれることが多々あります。私たちの身近にあるミルクチョコレートもその一つ。遥か2000年以上前から存在するチョコレートは、その昔は一部の特権階級だけが口にすることの出来る“ドリンク”でした。チョコレートの起源である中米のマヤやアステカの時代には、黒胡椒やオールスパイス、唐辛子が加えられ、彼らのスピリチュアルな世界と結びついたドリンクとして、中世ヨーロッパでは砂糖とともにジャスミンなどの香りが加えられ、甘く魅力的な宮廷の飲み物へとその変化を遂げて行きました。

チョコレートが“固形の食べ物”に変化したのは19世紀の産業革命の頃。機械化によりチョコレートが大量生産されるようになり、それに伴いカカオ豆の需要が急激に増えるようになりました。それまで供給されていた中南米のカカオ豆では足りない状況に。そこで考え出されたのがベネズエラ東部やブラジルのカカオをアフリカで栽培し、供給を補うことでした。こうして現在中央アフリカ付近で栽培されているカカオは、急激に増えたヨーロッパでのチョコレート消費を支える原料として拡大を遂げ、カカオ豆の供給面では解決の糸口を辿る一方、また新たな問題が生まれていました。アフリカから届くカカオ豆は“苦みと渋み”の味わいが強かったのです。同じ頃偶然にも、産業革命により牛乳を加工して練乳や粉乳にする技術が生まれていました。そこでこの味わいを和らげるため、加工乳を組み合わせるチョコレートが創り出されました。甘く、クリーミーで、心地よい香り。当時の知恵と最新技術の結晶、これがミルクチョコレートの始まりです。
歴史を辿ると、チョコレートのロマンが見え始めます。美味しさの裏側にどんな足跡が残っているのか、みなさんも是非調べてみて下さい。

幸せのチョコレートの香りと化学

カカオは熱帯のフルーツ。その果実の「種」から作られるチョコレートは、沢山の化学変化を経て美味しい香りを有するようになります。香りの成分は500種類、それ以上とも。それはワインのように芳醇で、コーヒーのようにかぐわしく、シルキーな舌触りとともに幸福の時間をもたらしてくれます。

その豊かなチョコレートのアロマは、どこから生まれるのでしょうか?
大きく分けて1つめはカカオの遺伝子、品種によるもの。2つめはカカオの果肉と種を取り出し、香りのもとを作る発酵と乾燥。3つめは乾燥したカカオ豆を「焼く(ロースト)」、チョコレートを「練る(コンチング)」工程。様々な要素が重なり、チョコレートの香りはさらに深みを増すようになります。

女性で例えるなら、すっぴんでどんなお顔立ちかを見極め(遺伝子・品種)、適度にお化粧をしてその美しさを引き出し(発酵・乾燥)、最後に整えてあげる(ロースト・コンチング)イメージです。ですから元の「素材」の性質を見定めることはとても大事で、更にそれを引き出してあげる「技術」も合わせて要求されるのです。

Bean to Bar※のチョコレートは、その「素材の個性」がダイレクトに現れやすいのが特徴。「フルーツの香り」「花の香り」「スパイスの香り」「ナッツの香り」「スイートな香り」、チョコレートの中に隠れている沢山のアロマたち。目を閉じて、リラックスして、深く鼻から呼吸をしながら、とけゆくチョコレートの中の、そのアロマを探して見て下さい。

※Bean to Bar:カカオ豆から焙煎、製造など全ての工程において自社で携わる製法

カカオハンター
小方 真弓さん

カカオの可能性を求めカカオ産地を旅する。現在は南米コロンビアに拠点を移して活動。カカオの開発、生産指導を行う一方、チョコレートの製造も現地で行う。
CACAO DE COLOMBIA S.A.S 研究開発ディレクター

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