主に人と動物とのスキンシップで分泌されやすくなるといわれる「オキシトシン」。幸せを感じやすくなり、ストレスも軽減されるとか!? 他にもどのような効果があるのでしょうか?また、その増やし方とは?みなさんは、「オキシトシン」という言葉は聞いたことはありますか?
オキシトシンは、「幸せホルモン」「恋愛ホルモン」「愛情ホルモン」「抱擁ホルモン」「信頼ホルモン」「絆ホルモン」「思いやりホルモン」「癒しホルモン」など、さまざまの異名を持つ神経伝達物質のひとつです。
近年、「飼い主とイヌが触れ合うことで互いのオキシトシンが分泌される」という麻布大学の研究チームによる論文がアメリカ『サイエンス』誌に掲載され、一躍注目されました。
オキシトシンが分泌されたとき、その驚くべき効果は、
・幸せな気分になる ・不安や恐怖心の軽減 ・ストレス緩和 ・他者への信頼が増し、絆を深めたいという想いが高まる ・学習意欲や記憶力の向上 など、多岐に渡ります。
オキシトシンが分泌されると、〝自分は愛されている〟と感じられ、さらに人や動物に対しての愛情が高まり、〝親密な関係を築きたい〟という気持ちが増すといわれています。
恋人関係やビジネスでの人間関係、親子関係においての理解度が向上し、コミュニケーション力が良好になることも。
オキシトシンは、どうすれば分泌される?主に人と人との肉体的な接触や簡単なボディタッチによってオキシトシンは分泌されますが、スキンシップがなくてもまわりの人のために何か行動を起こしたり、スキンシップがなくてもまわりの人のために何か行動を起こしたり、やさしく接したりすることで、「ヘルパーズ・ハイ」(親切にしたことで脳内ドーパミンが分泌され、幸福感をもたらすこと)が作用し、オキシトシンが分泌されるという研究結果もあります。
家族や友達、恋人、ペットとのハグ、赤ちゃんや子どもを抱っこするなどのスキンシップができない場合にオキシトシンを分泌する方法は、
・猫や犬の動画を見る ・やわらかいものに触れる(クッションを抱きしめたり、やわらかい部屋着や下着を身につけるなど) ・食事や会話を楽しむ ・人に親切にする ・食べ物から栄養素を摂取する(ビタミンC・ビタミンD・マグネシウム・タウリン・カフェインなど) ・アロマの香りをかぐ ・音楽や映画で感動する ・瞑想をする など。
「すてきだ」「可愛い」「感動した!」など、感情を抑えることなく解放することも大切だといわれています。
何か特別な出来事がなくても、日常生活においてのちょっとした行動でもオキシトシンは分泌されます。
たとえば「ありがとう」という言葉を他者に対して素直に伝えたり、電車で席を譲ったり……そんなとき、心がちょっとくすぐったいような、ふわっと弾むような感覚を覚えたことはありませんか? これは、オキシトシンの作用なのかもしれません。
今はオフラインでの触れ合いが減少して、人と人が直接触れる機会が少なくなったため、オキシトシン不足に陥っている人も多くなっているそう。 オキシトシンは、私たちの心身の健康に必要不可欠であることは間違いありません。自分の大切な人はもちろん、今日出会った人にやさしくしようと心がけるだけでも変わっていくかもしれません。 いろいろと落ち着かない世の中だからこそ、オキシトシンを分泌させて心豊かな毎日を送ってみてください。
〈参考文献〉 EMIRA|人に優しくするとストレスに強くなる! ホルモン物質「オキシトシン」の秘密日経サイエンス 医療法人社団福寿会|平成30年 ホルモン 公益財団法人テルモ生命科学振興財団 公益財団法人山口内分泌疾患研究振興財団 内分泌に関する最新情報